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今月の短歌 2月

四十年(よそとせ)をあゆみは来(こ)しかとこしへにつららく道の数歩(すうほ)に過ぎず

佐佐木信綱 『瀬の音』

 

昭和12年、信綱66歳の2月の詠で、詞書に、「『心の花』を発行して40年なり」 とある。 明治31年2月に「心の花」を創刊して、実に40年となったのである。

三、四句の「とこしへにつららく」とは、永遠に続く(連なる)の意。「心の花」の発行が40年続いたことを顧み、詠嘆するとともに、そのことに満足するのでなく、それは「心の花」の永遠に続く道のほんの数歩に過ぎないと言う。そのとき、信綱の目はどこを見ていただろうか。100年余の先を見据えていたのだろうか。

昭和12年(1937年)の2月「心の華」(後、「心の花」と改めた)を創刊した。信綱26歳のときのことである。創刊号に「我らの希望」という論説を載せ、「心の花」の誌名の由来を次のように語っている。

「花てふものなからましかば、春秋の眺めもいかに寂しからまし。歌てふものなからましかば、人々の思ひをいかでかやらむ。歌はやがて人の心の花なり。」 意味は、花というものがなかったならば、春秋の眺めもどんなに寂しいだろうか。 歌というものがなかったならば、人々の思いをどうして晴らすことができるだろうか。 歌は、そのまま人の心の花である。

今、手元に「心の花」2018年1月号がある。1431号、創刊以来、ちょうど120年目である。今年7月には、創刊120年記念号が発行されるという。

(短歌鑑賞:森谷佳子)