信綱かるた

信綱かるた50首紹介
幼児用かるた
マンガ信綱かるた

信綱かるた

顕彰会では信綱の短歌に広く親しんでもらうため、平成16年に「信綱かるた」をつくりました。
信綱が生涯において詠んだ1万余首の中から50首を選んだものであり、次の内容の歌から構成されています。

① 幼年期の作、幼童期回想、父への思い、故郷を偲ぶ。
② 名歌、代表歌
③ 歌道、学問にいそしむ。
④ 童心、ファンタジー、ユーモア
⑤ 晩年の深い心

「信綱かるた」は、顕彰会のボランティアによって手づくりされている。作られた「信綱かるた」は、
現在2,000セットを越えており、全国に配布されています。

現在、小・中・高校、公民館、老人施設などで「信綱かるた」大会が行われており、
その都度、顕彰会のボランティアが朗詠、ゲームの進行の手助けのため、10名程度が参加しています。

「信綱かるた道」

信綱かるた道には、佐佐木信綱記念館のほか道中安全を祈願した地蔵堂、本陣址、信綱の父弘綱記念碑・信綱歌額・幸綱歌碑のある浄福寺、西行・一休・芭蕉・信綱歌碑などのある古い由緒の石薬師寺、源範頼を祀る御曹司社がある。御曹司社南の三重県天然記念物「石薬師の蒲桜」は、広重が版画に描き、これをゴッホが名画「タンギー爺さんの肖像」の中で模写していることでも有名だ。
このほか南端には、東海道開設の頃つくられた「一里塚」址もある。

「信綱かるた」の遊び方

「信綱かるた」競技は基本的には3人対3人が対抗するティームプレイです。(チラシどりもあります)
詳しくは、以下リンクのルールブック(PDF)をご参照ください。

小学校における信綱かるたの活用

1. かるたの一般的な効果

小学校段階では、身体的、情緒的な活動に関連させて、国語力を育成することは意義がある。この点かるたは、快い韻律性があり、遊びを通して、楽しみながら学習できる。
小学生の暗記力はすばらしく、更にこの段階で記憶したことは、忘れることなく生涯の生活の中で生かされる。また、かるたでは、集中力を養うことができる。
脳学者によると、暗記あるいは集中することによって脳の活性化の効果も期待できるといわれる。

2. 信綱かるたの国語教育上の効果

信綱かるたは、古語を多く使っており、古典的要素をもち、伝統的言語にふれさせることになる。
多少意味の理解しがたい歌もあるが、これも教養として身につけておけば、その後の古典の学習の中で次第に生かされていくものと考えられる。
信綱かるたは、特に次のような特徴があり、子どもが受け入れやすく、小学生の発達段階に適合している。

親しめる内容

・5歳・9歳・10歳の歌が最初に並んでいる。
・ガラス障子窓から雪の降るのが見えます。ウグイスが鳴きます。(5歳)
・6歳にも9歳にも、鈴鹿峠を越えました。(9歳)
・1本の煙を残して、沖の遠くに、舟は進んでいきます。(11歳)

子どものような心で、作った歌がある。

・おじいさんに、孫がにぎった両手を差し出して、赤いサクランボはどっち?
・何千本ものヤマユリを集めてきて、ひと晩寝てみたいなあ。
・酒を飲んで酔っ払うと、この世の王様の気分になる。
・夕風に散る花を、カエルがわけあり顔でながめている。
・池に麩を投げたら、鯉が押し合いへしあい争っている。
・ソバの花にモズがやってきて、お話をしている。

知っている、聞いたことのある地名、花の名前、鳥・魚

地名――鈴鹿四日市、鈴鹿山、鈴鹿川、まりが野、石薬師、甲斐川
光大夫の碑、山辺
花の名前――チューリップ、サクランボ、やま百合、しゃくなげ
鳥・魚――ウグイス、セミ、にわとり、カエル、鯉、モズ

やさしい文語、言葉づかい

「船はゆくなり」 → 舟が行く
「目とづれば」 → 目を閉じると
「わが心すがし」 → 私の心はすがすがしい

今の言葉にない文語に知らず知らずに慣れられる

「掌(たなそこ)」 → てのひら
「今し斯く」(いましかく) → 今このように
「門をとはばや」 → 家を訪問したい
「悲しむなかれ」 → 悲しんではいけない
「彌重け」(いやしけ) → ますます重なってほしい

3. 百人一首とくらべての信綱かるた

信綱かるたは、上記のように子どもに親しみやすい内容、易しい文語であり、発達段階的にみて小学生によりふさわしい。
これに対して百人一首は
小学生には非常に難しく、意味の理解は困難であり、暗記だけに終わることが考えられる。
恋の歌が46首と多く、子どもには通じにくい。
縁語、枕詞、序詞、掛け言葉や係り結びなど、歌の技巧が多用されていて分かり難い。

4. 郷土の信綱かるた

信綱は、第1回文化勲章も受章した鈴鹿市が生んだ偉人である。亡くなって50余年経つが、その短歌は近年見直され、評価は更に高まる傾向にある。平成  年に雑誌「佐佐木信綱研究」が創刊されている。小学校4年生の国語教科書には、石川啄木、与謝野晶子と並んで信綱の歌が掲載されている(光村図書出版)。
信綱は、終生ふるさと鈴鹿に深い思いを寄せていた。ふるさとを詠んだ歌も多く、信綱かるたには鈴鹿に関する歌も多い。
このようなことから、子どもたちには、郷土の誇るべき立派な先輩のかるたである。また郷土の歌も多くて親しみやすい「郷土かるた」である。
信綱かるたを通して、子どもたちが郷土鈴鹿に少しでも愛着を感じ、郷土愛をもってくれたらさらにうれしいことである。
また、佐佐木信綱顕彰会としては、信綱かるたが「郷土かるた」、「鈴鹿の文化」として定着することを強く願っている。